スクラブの意味は「ごしごし擦る」!

スクラブは首元に切れ込みがある、半袖の医療用白衣です。機能性の高さから医療現場で取り入れられることが増えており、元祖アメリカでは「仕事着としてこれ以外考えられない」と言う医師もいるほど、一般的なユニフォームです。

では、スクラブという言葉の意味や、病院や医療従事者、患者さんにとっての意義、そして衛生的に良いのかについて見ていきましょう。

医療現場のユニフォームとしてスクラブを活用しよう

スクラブとは、「ごしごし擦って洗い落す」

医療現場において、医師や看護師など、スタッフの制服として定着しつつあるスクラブは、英語でscrubと綴り、「ごしごし擦って洗い落とす」という意味です。ボディケア用品として販売されている「ボディスクラブ」と同じ意味だったんですね。

(因みに、辞書を引くと「雑木林」を意味するscrubも出てきますが、こちらは異なる単語です。)細菌汚染が日常茶飯事の医療現場では、ごしごしと洗濯できることは不可欠な要素ですよね。由来はアメリカで、抜群の機能性から、医療従事者に人気を博し、スタンダードの白衣となりました。

医療現場にとってのスクラブの意義

病院から見たスクラブの長所・意義として、安価であることや、病院の個性を出せるといったことが挙げられます。病院の約8割では、白衣は支給制をとっています。従って、白衣に比べて安価であるスクラブを導入することで、病院の経営コストを削減することができます。

「スクラブは安価なので、従来支給していた白衣の枚数より多くを支給できるようになり、毎日交換してスタッフに快適に働いてもらえるようになった」という病院の体験談もあり、医療従事者に快適な環境を提供することにもつながっているようです。

また、スクラブは色が豊富なので、病院のカラーを決めたり、診療科や職種によって色の使い分けをすることによって病院の個性を演出できます。多くの病院では、プロフェッショナルな印象を与えるネイビーやワインといった、深い色が採用されていることが多いです。

しかし、青系、赤系でも診療科によって色のトーンを変えることで、チームとしての一体感を出すことができます。コート白衣やナース服と違って、職種を超えて同じ服を着られることも、一体感につながるポイントなのかもしれません。

カラフルなスクラブを導入した病院の看護師の中には、「ナースの衣服にピンクやグリーンなどの色が付き、ナースステーションが明るくなった。みんなの士気が上がった。」と話す人も多いようです。

医師、看護師にとってスクラブとは

2017年に医療サイト会社が行った標本調査によると、日本の医師の約21%がスクラブを着ています。

一番多かったのが白衣で48%、2番目が22%のケーシー、次いでスクラブという結果になりました。約半数の医師が従来の白衣を着用しているということから、ユニフォームは白衣であるべきだという、医師や社会の認識が日本ではまだまだ根強いと伺えます。

そんな中でも、洗濯のしやすさや着用の手軽さから、スクラブを好む医師は増えています。看護師の服装は、ここ数年で大きく変化し、スクラブを着用しているスタッフを病院で見かけることは日常茶飯事となりました。看護師にとって、従来のワンピースよりスクラブにロングパンツの服装のほうが圧倒的にストレスが少ない、看護師として働く男性の増加により、パンツと合わせられるスクラブが制服として指定されるようになった、ということが理由に挙げられるでしょう。

体力労働で、足を上げたり、患者さんの前で様々な姿勢をとったりする看護師にとって、患者さんにスカートの中が見えてしまわないように配慮するのも一苦労だったようです。スクラブを着て働いている看護師には、「動きやすいし、風通しが良いので暑くならない」と喜ばれているようです。

患者さんにとってスクラブとは

患者さんにとっても、スクラブは概ね好評で、特に看護師が着用している姿は高評価を得ています。「医師はコート白衣、ナースは白衣の戦士だ」という印象は日本では強いです。ドラマでもこういった服装が使われていることが多いですし、つい数年前まではスクラブは日本でほとんど着られていなかったためでしょう。

人生で初めてスクラブ姿を見たときはびっくりした、という患者さんはいるようです。しかし、そのような人でも、徐々に親しみを持てるようになるそうです。また、「今までのナース服を見ると、病院にかかったら自分が病人になった気がしていた。

スクラブなら雰囲気や気持ちが明るくなった」という意見や、「威圧感がなくなった」という意見も多く見受けられます。また、実用的な利点として、「職種によってスクラブの色が使い分けられているので、医師と看護師、作業療法士などの見分けがすぐついて助かる」といった声もあります。

医師のスクラブ姿は、患者さんの年齢が若いほど受け入れられている傾向があります。高齢の方は、長年白衣を着た医師の姿を見て、頼もしさを感じていたのでしょうか、スクラブに違和感を感じる人も少なくはないようです。

逆に、小児科では子供に圧迫感を与えないように白衣を着ない医師が多く、こういった人がスクラブを着ると喜ばれるのかもしれません。スクラブには柄物もありますし、年少患者さんの気持ちをリラックスさせられるのではないでしょうか。

衛生面でのスクラブの意義

スクラブは、衛生面でも優秀なデザインやつくりを備えています。スクラブが半袖なのは細菌対策に意義があります。イギリスの保健省は、2007年に、コート型白衣の袖口は細菌の温床になりやすいうえ、患者と接触して菌を互いに移し合ってしまう可能性が高いという理由で、半袖の衣服着用を盛り込んだ指針を作りました。

半袖の衣服なら、手首が汚れてもすぐに洗えますし、コート型白衣のように手洗いの水で袖が湿って、細菌が繁殖することも防げますよね。2つ目に、洗濯がしやすいということは、病院にとってクリーニング代が削減できることもさることながら、医療の作業環境を清潔に保つうえでも一躍買っています。

アメリカの国立機関により、看護師が無菌のスクラブを着用して一日働いた後の細菌数が調査されています。この研究では、日勤ではスクラブ1平方センチメートル当たり約200個、夜勤では約890個の細菌が検出されたと報告されました。

スクラブを前後50*50センチメートルの布に見立てると、服全体では、日勤で100万個、夜勤で480万個もの細菌が付着していることになります。一日の仕事が終われば、毎日洗濯に出せることの有難みが分かりますよね。

因みに、日本の医師が白衣を洗濯に出す頻度として最も多いのは「週に1回」で、2017年の調査によると、男性52%、女性41%の医師が1週間同じ白衣を着用しているようです。

コート白衣は毎回洗濯に出すとかさばってしまうし、コート扱いだから、下着のように頻繁に洗濯する必要性を感じないのかもしれませんね。